リンパ脈管筋腫症(LAM,lymphangioleiomyomatosis)に対するラパリムスの臨床研究リンパ脈管筋腫症(LAM)に対するシロリムスの臨床研究

治療薬の研究

MILES試験(2006年~2010年)の結果

2009年8月までに111人の患者さん(目標120人)が日米加3カ国で参加表明され、実際に2010年9月初旬までに89人の患者さんが1年間の服薬を終え、2010年12月に最終解析が終了し、2011年3月16日、世界で最もレベルの高い医学誌であるThe New England Journal of Medicine電子版で公表されました。

それによると、主要評価項目(MILES試験で、シロリムスが有効であるかを判定する検査)である投薬期間中の1ヶ月間あたりの肺機能検査の一秒量(FEV1)の変化量は実薬(シロリムス=ラパマイシン)を服用された46人の患者さんの平均が1±2ml/月の増加、逆にプラセボ(偽薬)を服用された43人の患者さんの平均では12±20ml/月の減少であり、両群の統計計算上の差を表すp値が0.001未満でした。

このp値が低ければ低いほど、シロリムスが効くということになりますので、非常に有効であったということです。
シロリムスを服用した患者さんでも44%の患者さんの一秒量(FEV1)は悪化(減少)したのに比べ、プラセボ(偽薬)を服用した患者さんでは67%の患者さんの一秒量(FEV1)が悪化(減少)しました。

また、1年間の努力性肺活量(FVC:一生懸命に息を吸って吐いた空気の量)の変化は実薬(シロリムス)群で試験前に比べて、1年薬を服用した後に100±260mlの増加、プラセボ(偽薬)群で130±230mlの減少であり、両群の統計上の差を示すp値は、0.001未満でした。

皮疹、口内炎、下痢、高脂血症などの軽症の副作用は、シロリムスを服用された患者さんで多く見られましたが、いずれも治療でよくなる程度で、入院を要する重症の副作用の頻度についてはプラセボ(偽薬)群と変わりありませんでした。心疾患で入院したのはシロリムスを服用した患者さんでのみ認められ、心膜炎による心タンポナーデ、不整脈、頻脈、容量負荷(血管筋脂肪腫治療後)が認められました。
当初懸念されたシロリムス肺臓炎(欧米などで、腎移植の患者さんでシロリムスを服用したときに稀におこるとされている)はシロリムスを服用された患者さんで1例も見られませんでした。

MILES試験では、シロリムスを1年間服用した場合、肺機能に効果があり、薬剤として比較的安全である事が証明されましたが、以下の点問題点が残っています。

MILES試験に参加した患者さんの肺機能は一秒量予測値(%FEV1)の平均は48%でした。
つまりこの値よりもっと軽症の患者さんや重症の患者さんにこの効果や安全性を当てはめることはまだ出来ません。

シロリムスを1年間服用した患者さんでも、肺機能が服薬開始してから9ヶ月目くらいまでよくなり、その後緩やかな下り坂に入るようです。
結果として1年で一秒量(FEV1)はわずかに改善し、努力性肺活量は100mlくらいよくなりました。 しかし、よくならなかった患者さんも2割ほどいらっしゃったので、全ての患者さんで劇的に効くというわけではないようです。
プラセボ(偽薬)を服用された患者さんの3分の2でゆっくりと肺機能が低下したのに対して、シロリムスを服用した患者さんでは、その低下が抑えられたのだと思います。

治療薬の研究

ラパリムス錠を処方された患者さん、ご家族の方へ

「ラパリムス」はノーベルファーマ社から発売されている治療薬です。以下よりノーベルファーマ社のサイトへリンクします。

シロリムスは別名「ラパマイシン」ともいいます。
このサイトでは一般名の「シロリムス」と、治療剤名の「ラパリムス」の表記を使用しています。